パートについてのご意見
利用者の観点からみた「安心ハウス」のポイントは、中所得層が利用しやすい年金程度の利用料、有料老人ホ−ムのような高額な入所金が不要、整備された介護体制(必要であれば二四時間介護がつく)ということだ。
民営だから経営の自由度があり、例えばある事業で利益が出たら別の事業に投資をしてもいい。
これに対して特別養護老人ホ−ムのような仕組みは民間主体ではあるが特別な公益法人、つまり社会福祉法人が経営している。
これには多額の補助金が入っているため、会計が官庁会計に準じていると同時に、福祉目的以外に資金を使うことができない。
仮に利益が出たとしてもそれを福祉事業以外に再投資することができないなど、経営に対して非常に厳しい制約がある。
安心ハウスは補助金が出ていないので自由にやっていいという考え方だ。
安心ハウスの具体的仕組み安心ハウスの具体的仕組みは次のようなものである。
入居対象者は月額利用料を自己負担できる高齢者。
月額利用料は一五万1二O万円程度(賃料、管理費、食費、介護費を含む)で、普通の人の年金程度で入れる水準とする。
高額の入所一時金は取らない。
事業者は主に民間事業者を想定し、コストの削減や多様なサービスの展開など民間事業者の創意工夫に期待する。
例えば食事サービスについては、特別養護老人ホ−ムは一日三食の定型サービスだが、安心ハウスでは民間給食サービスやケイタリングサービスを利用しても、外に行って食べてもいいなど、入居者の好みとニ−ズに応じた多様な選択ができるようにする。
介護サービスについては、介護保険法に基づく「特定施設入所者生活介護」指定を受け、特別養護老人ホ−ムと同等の介護サービスを受けられるケ−スや、既存の訪問介護サービス事業者と連携した在宅介護サービスを受けられるケ−ス、デイサービスセンター等が併設されていて昼間はそこに行ってくつろいだり介護を受けたりできるケ−スなど、多様なサービスが考えられる。
民間業者だから、工夫によってより手厚いサービスを提供することも可能だ。
例えば、法的には要介護者と介護スタッフの比率は三対一とされているが、可能なら二対一とかもっと厚くしても構わない。
既にお分かりのように、安心ハウスも介護保険で決められている生活介護などの現存の支援システムを使用できる。
ただ、特養のように施設整備費に対する高率の補助金は出ない。
従って、公共の財政負担は軽くなり、財政制約の問題を回避できる。
ロックインを生む高い入居一時金高い入居一時金が必要な有料老人ホームについては、入退去が非常に不自由という弊害も指摘されている。
どういうことかというと、全国に四五Oカ所の有料老人ホ−ムがあるが、平均して二000万円前後の入居一時金を取る。
なかには一億円を超えるものもあり、入居者の多くは全財産をはたいて入居する。
一時金は三年以内に退所すればほとんどのところは返してくれるが、それ以上いたら返してもらえない仕組みのため、出るに出られなくなる。
いわばHロックイン印されてしまう。
経営する側からみても、高齢化が進んで人々の寿命が予想外に伸びたために経営の目算が狂い破綻するところが出てきているが、先に入居一時金をもらっているために出てもらえない。
これも一種のロックインと言える。
高額の入居一時金が入居者と経営の双方に難しい問題を生んでいるわけで、一時金ができるだけ少ない方が双方の自由度を高めることになる。
この点で安心ハウスは月額利用料が基本で原則的には入居一時金は取らないから、ロックイン問題を避けることができる。
安心ハウスの月額利用料は、家賃や建物の管理費などの土地・建物関係費と、介護費や食費やその他のサービスなどのサービス関係費に分けられる。
安心ハウスの土地・建物の供給方式はどうなっているのだろうか。
特別養護老人ホ−ムの場合には土地を持っている人が社会福祉法人の資格を取得し、補助金を受けて、その土地を活用することになっているが、安心ハウスの場合は様々な土地や建物の利用方式を考えることができるし、考えなければならない。
一つは公有地の活用である。
公有地は行政財産と普通財産に分かれている。
例えば少子化でどんどん空いてくる小学校の校庭を使いたいという場合、これは行政財産である。
その上に安心ハウスを建てるには、行政財産の登録を廃止して普通財産に転換すれば可能だ。
ただ、これには補助金の使用について難しい問題があり、行政財産であるために投入された予算は返却しなければならないことになっている。
三O年たった小学校を他の目的に使うことになったからそこへ投入された経費を積算して返却するということは事実上困難である。
地方債を発行してその資金を調達するという方法も理屈としてはあり得るが、現実的には難しい。
そういう問題はあるが、四年前までは一定の行政目的に沿ってつくられた行政財産を普通財産に転換すること自体が不可能であった。
行政財産の管理法制があり無理だったが、五三O万人雇用創出計画の中でわれわれが主張した「安心ハウス構想」が政府の計画になったために、厚生労働省と総務省との協議を経て、二年前に小学校の土地は行政財産であるが高齢者の介護施設建設の場合には法的に転用可能となったのである。
もう一つは民有地の活用だ。
これには「一括借り上げ方式」というのがあり得る。
つまり土地所有者が建物をつくり、安心ハウスの事業者がその土地建物を一括で借り上げて管理運営し、賃貸料を払う方式だ。
土地建物の所有者と建設した人と借りる人の三者の分業協業関係になる。
安心ハウス事業者が既存の建物を借り上げて改修し使用する「既存建物改修方式」というものもある。
企業の遊休施設や社員寮を改良して安心ハウスとして使うケ−スがこれに当たる。
後で紹介する日本アビリティ−ズという会社はこのやり方を上手に活用している。
このほかに、土地の所有者が建物を整備し、安心ハウス事業者が土地建物所有者から管理運営を受託する「管理受託方式」や、ノウハウのある土地所有者が安心ハウスを自分で整備・管理・運営する「直接整備管理方式」などがある。
二OO三年三月、厚生労働省は老人保健局長の私的研究会として「高齢者介護研究会」(委員長堀田努氏)を立ち上げ、四カ月後の同年夏に検討結果を報告書として発表した。
同研究会はゴールド0フラン後の高齢者介護のあり方として、痴呆の予防が第一であること、そのためには早期発見がカギとなること、きめ細かい相談の仕組みを用意する必要があること、さらにそれを地域の関連サービスと連携し調整する中で行う必要があることを打ち出した。
こうした考え方の下で、二O一五年の介護のあるべき姿を描いている。
具体的には、これまでの大型で重装備の介護サービス体系を再構築すべきこと、特に生活者の視点から療養者の環境をより人間的なものに改善すべきこと、自分の家に住むのが本来あるべき姿で、通所系のサービスをきめ細かく整備する必要があることなどを謡っている。
痴呆になった人のケアについては、九人以下の小規模の「グループホ−ム」という仕組みがある。
グループホ−ムは普通の家庭生活の延長が前提で、自分の部屋があり、食卓があり、ちょっと休む所があり、トイレや洗面所やお風巴があり、その中で普通の人と同じように暮らすことができる。
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